「教えることが上手な先生」は確かにいます。
ユーモアがあり、ICT機器を操り、小道具を駆使して、わかる授業を行う先生は素晴らしいと思います。
でも・・
一概に順番をつけることはできませんが、私は「教えることが上手な先生」は1番の先生ではないと思います。
では、1番の先生とは?
私が考える1番の先生は「気づかせる先生」です。
子どもの心に火をつける先生とも言えます。
どうしても学校の先生は教えたがってしまいます。情熱や親切が上回り、子どもの気付きや失敗の機会を奪ってしまうことがあります。
授業についても、考えることがあります。
「一問一答式の授業」はよろしくない、とよく言われています。
しかし、最悪な授業とは?
それは、「自問自答式の授業」です。
さすがにこれは小中学校では見たことがありませんが、高校や大学では自分自信が体験したことがあり、教える本人以外の者にとっては苦痛以外の何ものでもなく、子どもの気づく機会を奪っているのです。
兵法の極意は「戦わずして、勝つ。」
教育の極意は「教えずして、気づかせる。」
理想かもしれませんが、挑戦してみたいですね。
では、具体的に「気づかせる先生」とは、どんな先生なのか?
自分もこのような先生になりたいと長年、失敗を重ねてきました。そして、自分自身もこんな先生に教えてもらいたいと思うようになりました。
1 取り返しのつく失敗をさせる先生
かつて、ある校長にこう言われたことがありました。
(子どもに)取り返しのつく失敗はさせなさい。
全くその通りだと思います。
「わざわざ子どもに失敗をさせるのか?」
「成功する道があるのに、失敗をする子どもを見ているだけなのか?」
と、疑問を持つ若い先生方もいると思いますが、教師の管理下のもと、「失敗のリスクを恐れず、子どもに挑戦をさせなさい」という意味で、校長は教えてくれたのだと私は考えます。
失敗を経験し、その反省を生かした成功体験から獲得した知識と技能は、知恵となってその子の一生の財産になります。
2 時間を守る先生
「チャイムが鳴ったら、授業を終了する。」
教師生活を振り返り、自分が続けてきた数少ない実践の一つです。
当たり前のことですが、私が働いていた学校では意外に守られていませんでした。
教師の熱意ゆえのことであり、一概に否定することはできませんが、子どものモチベーションは下がり、その教師の癖となった場合は、子どもにとって受け入れがたい状況となります。
「時間を守りなさい。」という教師の指導を、教師自身が否定することとなります。
あくまで私見ですが、授業を休み時間まで延長する先生ほど自らの提出物が遅れる傾向があると、私は感じました。
「120%の仕上がりで遅れるよりも、80%で期日前。」
同僚にもよく話をしたことですが、提出物の遅れは教師自身の焦りや疲労となって蓄積し、そのシワ寄せは必ず子どもの元にやってくるのです。
時間を守る教師の姿勢を見て、子どもは時間の大切さに気づいてくれるのだと、私は考えます。
3 できない理由を子どもに求めない先生
怠けや不注意は別にして、教師が一生懸命に教えても、子どもができないことはたくさんあります。
「できるようになりたい。」と心の底では、どの子も思っているはずです。
これはいけないことですが、時折、できない理由を教師が子どもに求めてしまうことがあります。
「どうして・・?」と子どもに聞く教師はいませんが、ついつい自分の心に問いかけてしまいます。
(仮に聞かれても子どもは答えることができません。)
過去に教えた子どもと同様、今、自分の前にいる子どもを何とかしたいという、熱意ゆえのことですが、一人ひとりの顔が違うのと同様、子どもにはできることとできないことがあります。
自分もそうでしたが、できないから学校に来ているのです。
目の前にいる子どもをよく観察し、あの手この手を考えながら自分の指導を磨き、子どもにできるよろこびを味わわせる教師になりたいものです。