給食指導は日本の宝

教師の仕事

私は子どもの頃から給食の時間が好きです。

教師になってからは、更にその大切さに気付くこととなりました。

保護者や一般の方はご存知ない方もいらっしゃいますが、給食の時間の正しい名は「給食指導」です。

給食指導は世界に誇れる日本の教育の宝であり、食べることの大切さや集団生活のきまりを学ばせる場、学級経営の根幹をなす場であると私は考えています。

学級が崩壊すると、当番の仕事をさぼり、働くものと働かない者の不公平がまかり通ったり、好き勝手に自分のもらう量を変えたり、弱い立場の者からデザートなどをまきあげたり(お願いしているが圧力をかけて最終的に差し出させる)する者も現れてきます。

個人の尊重、民主主義教育の根底にあるのが給食指導なのだと私は考えます。

給食の時間について、私の学級のめあては

「早く準備して、ゆっくり食べて、休み時間を増やそう。」でした。

早く準備するといっても、適切な方法と子どもの協力がなければ、できません。

以下に2つの実践例をあげさせていただきます。ご参考になれば幸いです。

【6分18秒以内で準備する】

これは、私が小学校での教育実習中に実習学級の先生から学ばせてもらった例です。

その学級は配膳の準備が整うと、係の児童がラジカセ(当時)で音楽を流しました。
その曲はスティーヴィー・ワンダーの「心の愛」でした。

音楽がかかっている間、子どもたちは静かに配膳をし、曲が終わるまでに完了させるということが、その学級のルールでした。

私は小学5年生の担任となり、この方法を使わせてもらいました。

ただ単に時間を区切るのではなく、その曲が流れている間に配膳を完了するためにはどうしたらよいかと、子どもたちが考えるようになりました。

「静かにすること、自分で考えて
     てきぱきと行動することも協力」

当番以外の子も大切なことを学ぶ機会となりました。

【給食に命をかけて】

「俺は給食に命をかけているんだよ。」

中学校で働いていた時、ある同僚がよく話していました。

その同僚の給食指導はとにかく徹底していました。

・4時間目が理科や音楽など特別教室での授業の場合、当番に給食着を持っていかせる。

・その場合、当番の授業道具は当番以外の生徒が協力して、教室まで運ぶ。

・独特の方法で配膳を行う。   (後で説明します)

・毎日、担任自ら給食当番を行う。(これも後で説明します)

これは聞いた話ですが、隣の学級が「いただきます」の挨拶をした時に、体育館でガラスの割れた音が聞こえたとのこと。

※この同僚の学級はもうすでに、「ごちそうさま」の挨拶を終え、生徒は体育館で遊んでいたのでした。

※給食の準備についてのフライング疑惑があったり、他の学級とのバランスを考えるべきだという批判もありましたが、この担任が給食に熱意と相当なエネルギーをかけていることは事実でした。

私はここまで徹底する気持ちはありませんでしたが、その独特な方法については、大いに学ぶところがあると思いました。

「置かずに、取らせる」

中学生や小学校の高学年で行える方法ですが、配膳する皿は、受け取る側のトレーには置かず、自分で取らせる方が時間短縮になります。

「左右から空いた皿に盛り付ける」

・給食を盛り付ける皿を4箇所に分けます。

(40枚の場合、縦横各2列で10枚ずつ)

・その皿をはさむように、給食のバット(料理の入れ物)を左右に置きます。

・左右のバットの当番は一番上の4枚の皿に料理をそれぞれ盛り付けます。

・各自、盛り付けられた皿をセルフで取っていきますが、盛り付けられた皿であれば、どれを取っても構いません。

・バットの当番は取られた皿の次に出てきた空の皿に盛り付けをしていきます。

(図参照)

この方法では、トレーの上の皿を目がけて、料理を盛り付けることもなく、皿を持った人が来なければ当番の仕事ができないということもないため、時間のロスを大幅に減らすことができます。

中学校の同僚から教えてもらったこの方法は、小学校の高学年でも実践することができました。

「汁物は担任が配膳する」

小学校でも特に低学年の子どもにとって汁物の配膳はとても難しいことです。

配膳された椀の中の汁が多く、具が少なくなってしまったり、最後は具が多くなって汁が少なくなってしまうこともあります。

おたま一杯分と指導をしても、最後に汁が足らなくなって、みんなから集めたり、反対に余り過ぎて、もう一度追加で配ったり等、担任も頭を悩ますことがあります。

そこで、思い切って汁物の配膳当番は担任と決めてしまうことも一案だと考えます。

児童と交代で行ったり、できるようになったら引き継ぐなど、指導に変化を持たせるのもありではないかとも考えます。

前に述べた同僚は学級の生徒(中学生)にもやらせず、自分で汁物の配膳を行っていました。

汁と具が均等に合わさるよう、右手でおたまを遊ばせながら、最後にはピタリと配膳が完了する見事な名人技の配膳でした。

やはりここでも、汁物の椀はトレーの上に置かず、自分でとらせるという方法を徹底していました。

給食指導を通して、児童生徒だけでなく、教師も学ぶこと、身に付けなければならないスキルがあると考えます。

給食指導は日本の教育の宝です。

タイトルとURLをコピーしました